病院の事務当直で勤務中、
0時過ぎに来た患者さんが
3時頃、他院に転送されて行った。
やっと仮眠が取れると、
電気を消して、横になると、
ドスっと言う重たい音が
聞こえた。
一瞬思ったのは、
隣の部屋にいる看護師さんが
ベッドから落ちたのか。
しかし、看護師さんは華奢だし、
もっと重たいものが落ちた音で、
しかも、窓の向こうで聞こえた。
すると、看護師さんがドアを開けて
飛び込んでくるなり、
「今の聞いた?
嫌な予感がする、、、」
聞くと、以前に一度、入院患者さんが
窓から飛び降りたらしい。
少しゾワっとした。
見に行こう、と2人で正面玄関を出た。
正面玄関は少し奥まっていて、
そこから、窓の下を見るときは
さすがに少し怖かった。
しかし、窓の下には誰もいなかった。
ホッと胸を撫で下ろした。
看護師さんは、
「病棟に問い合わせてくる」
と中に戻って行った。
ぼくは、
病院の周りを一周することにした。
時刻は夜中の3:20くらい。
真っ暗だ。
角を曲がる度に、緊張した。
ちょうど2つ目の角を
曲がったところで、
PHSが鳴った。
看護師さんからだった。
「原因が分かった」
急いで中に戻ると、
診察室の天井に設置された
エアコンのカバーが外れて、
脱落防止の柵に当たっていた。
「これだったのか」
と一応納得したが、
不審な点が2点ある。
1、
どう考えても、重たいものが
ドサっと落ちた音で、
しかも外から聞こえた。
看護師さんも聞いていたから、
空耳ではない。
2、
エアコンカバーは、
自然に外れるような構造になっていない。
いったん引き上げて、ずらさないと
外れるわけがない。
ちなみに言うと、
エアコンカバーが外れた
診察室は、「診察室4番」だった。